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【医師監修】不眠の薬、市販と処方の違いは?安全に眠るための種類と選び方完全ガイド

「明日も仕事なのに、どうしても眠れない…」
「薬に頼るのは怖いけれど、このままでは身体がもたない…」

不眠の悩みは、誰にも相談できず一人で抱え込みがちなものです。特に、責任ある立場の方や日々の業務に追われる方にとって、睡眠不足はパフォーマンス低下に直結する深刻な問題です。

結論から申し上げますと、不眠の薬は「一時的な不眠には市販薬」「慢性的な不眠(1週間以上続く場合)には処方薬」と明確に使い分けるのが鉄則です。 自己判断での長期連用や、合わない薬の使用は、かえって症状を悪化させるリスクを伴います。

この記事では、日本睡眠学会専門医である山田医師の監修のもと、薬の種類、効果の違い、そして多くの方が不安に感じる「依存性」の真実について、医学的根拠に基づき正しく解説します。薬に対する漠然とした不安を解消し、あなたに最適な解決策を見つける手助けとなれば幸いです。

この記事でわかること

  • あなたの不眠タイプに合った薬の選び方と種類(一覧表つき)
  • 「市販薬(睡眠改善薬)」と「処方薬(睡眠薬)」の決定的な違いと使い分け基準
  • 依存や副作用が怖い人へ。医師が教える安全な服用のルールと最新の薬事情
目次

まずは結論!「市販薬」と「処方薬」どちらを選ぶべき?

「眠れない」と感じたとき、最初に迷うのが「ドラッグストアで薬を買って様子を見るか」それとも「最初から病院に行くべきか」という点ではないでしょうか。手軽に買える市販薬は魅力的ですが、すべての不眠に効果があるわけではありません。逆に、病院の薬に対して「一度飲み始めたらやめられなくなるのでは?」という恐怖心を抱いている方も少なくありません。

このセクションでは、あなたが取るべき行動を明確にするために、両者の決定的な違いと選び方の基準を解説します。結論としては、不眠の「期間」と「原因」が判断の鍵となります。

仕事の緊張や時差ボケなど、原因がはっきりしており、数日限りの不眠であれば市販薬が役立ちます。しかし、「なぜ眠れないかわからない」「1週間以上続いている」「日中の生活に支障が出ている」といった場合は、処方薬による治療が必要です。誤った選択は、不眠を慢性化させる原因にもなり得ます。

山田医師 (〇〇睡眠クリニック院長) のアドバイス

「『たかが不眠』と我慢してしまう方が多いのですが、医学的には『眠れない状態が週に3回以上あり、それが1ヶ月以上続く』と慢性不眠症と診断されます。しかし、そこまで待つ必要はありません。目安として『2週間』、睡眠の悩みで日中の活動(仕事の集中力低下や倦怠感)に支障が出ているなら、迷わず受診してください。早期に適切な治療を行えば、それだけ薬を卒業するまでの期間も短くて済みます。」

違いが一目でわかる比較表:成分・強さ・入手方法

市販薬と処方薬は、そもそも「何を目的として作られているか」という根本的な設計思想が異なります。以下の比較表で、その違いを確認しましょう。

▼市販薬(睡眠改善薬)vs 処方薬(睡眠薬)比較表
項目 市販薬(睡眠改善薬) 処方薬(睡眠薬)
主な成分 抗ヒスタミン成分
(ジフェンヒドラミンなど)
オレキシン受容体拮抗薬
ベンゾジアゼピン系
メラトニン受容体作動薬など
作用の仕組み 風邪薬の副作用である「眠気」を応用して、覚醒を抑える。 脳の興奮を鎮めたり、睡眠のリズムを整えたり、覚醒スイッチをオフにするなど多様。
対象となる症状 一時的な不眠
(旅行、ストレス、時差など)
慢性的な不眠
(入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒など全般)
使用期間の目安 数回〜1週間以内
(長期連用は推奨されない)
医師の指導下で継続可能
(症状改善後は減薬・休薬)
保険適用 なし(全額自己負担) あり(3割負担など)
効果の強さ マイルドだが、個人差が大きい。
翌日に眠気が残りやすい。
症状に合わせて微調整が可能。
切れ味が鋭いものから自然なものまで。

市販薬(睡眠改善薬)が向いている人・向いていない人

ドラッグストアで手に入る「睡眠改善薬(ドリエルなど)」は、手軽さが最大のメリットですが、誰にでも効くわけではありません。効果的に使うためには、ご自身の状況が以下に当てはまるか確認してください。

【市販薬が向いている人】

  • 「明日は大事なプレゼンがあるから、今夜だけは確実に寝ておきたい」というような、明確なイベントによる一時的な不眠の人。
  • 時差ボケや、シフト勤務で生活リズムが一時的に狂って眠れない人。
  • 普段は眠れているが、たまたまストレスが重なって数日眠れない人。
  • 病院に行く時間がどうしても取れないが、今夜の睡眠を確保したい人。

【市販薬が向いていない人(=受診すべき人)】

  • 1週間以上、不眠が続いている人。
  • うつ病や不安障害など、他の病気が原因で眠れない可能性がある人。
  • 過去に睡眠薬でアレルギーを起こしたことがある人。
  • 妊娠中、授乳中の人、または高齢者(副作用が出やすいため)。
  • 市販薬を数回試しても効果が感じられなかった人。

処方薬(睡眠薬)が必要なケースとは?

「処方薬」と聞くとハードルが高く感じるかもしれませんが、現在の不眠治療は、個々の生活スタイルや体質に合わせて、オーダーメイドで薬を選ぶ時代です。市販薬でカバーできない「中途覚醒(夜中に起きる)」や「早朝覚醒(朝早く目覚める)」などは、処方薬でなければ改善が難しい症状です。

以下のセルフチェックフローで、あなたがどちらを選ぶべきか判定してみましょう。

▼Yes/Noで判定!あなたに合うのはどっち?セルフチェックフロー図

Q1. 眠れない症状はどれくらい続いていますか?
・数日〜1週間以内 → Q2へ
・1週間以上、または慢性的に続いている → 【病院での受診・処方薬】がおすすめ


Q2. 眠れない原因に心当たりはありますか?
・はい(明日の試験、旅行、嫌なことがあった等) → Q3へ
・いいえ(特に理由はないのに眠れない、動悸がする等) → 【病院での受診・処方薬】がおすすめ


Q3. どのような眠れなさですか?
・布団に入ってもなかなか寝付けない(入眠障害) → 【市販薬】を試してもOK
・夜中に何度も目が覚める、朝早く目が覚める → 【病院での受診・処方薬】がおすすめ
(※市販薬は持続時間が短く、中途覚醒や早朝覚醒には効果が薄い場合が多いため)

慢性的な不眠を市販薬で誤魔化し続けると、「薬がないと眠れない」という心理的な依存を形成してしまうことがあります。また、不眠の裏に「うつ病」や「睡眠時無呼吸症候群」などの疾患が隠れている場合、市販薬では根本解決になりません。少しでも「おかしいな」と思ったら、専門家の判断を仰ぐことが、結果的に一番の近道となります。

病院で処方される睡眠薬の種類と特徴【タイプ別解説】

「病院の睡眠薬は、一度飲むとクセになってやめられなくなる」「副作用でボロボロになる」…そんなイメージをお持ちではありませんか? そのイメージの多くは、昭和の時代に使われていた古いタイプの薬(バルビツール酸系など)によるものです。

近年の睡眠薬開発の進歩は目覚ましく、「自然な眠気を強める」「依存性が極めて低い」新しいタイプの薬が主流になりつつあります。医師は、患者さんの「寝つきが悪いのか」「途中で起きるのか」という症状と、年齢や体質を考慮して、最適な薬を処方します。

ここでは、現在病院で処方される主な睡眠薬の種類と特徴を、最新の情報を交えて解説します。正しい知識を持つことで、薬への過度な恐怖心を払拭しましょう。

山田医師 (〇〇睡眠クリニック院長) のコメント

「『睡眠薬=怖い』という誤解は根強いですが、現在はより安全性の高い薬が登場しています。特に近年注目されている『オレキシン受容体拮抗薬』などは、脳を無理やりシャットダウンするのではなく、起きようとする力を抑えて自然な眠りへ導く仕組みです。適切にコントロールすれば、依存のリスクを最小限に抑えながら治療できます。」

睡眠薬の4つのタイプ(作用機序による分類)

睡眠薬は、脳への働きかけ方によって大きく4つのタイプに分類されます。医師はこの4つを使い分けたり、組み合わせたりして治療を行います。

▼詳しく見る:4つの分類と代表的な薬剤名

1. オレキシン受容体拮抗薬(自然な眠気を強める/最新タイプ)

代表薬:デエビゴ、ベルソムラ
脳の覚醒状態を維持する物質「オレキシン」の働きをブロックすることで、過剰な覚醒を鎮め、眠れる状態を作ります。無理やり眠らせるのではなく、「起きているスイッチを切る」イメージです。依存性が極めて低く、長期使用の安全性も高いため、現在の不眠治療の第一選択肢となりつつあります。

2. メラトニン受容体作動薬(体内時計を整える)

代表薬:ロゼレム
体内時計を調節するホルモン「メラトニン」の働きを促し、自然な眠気を誘います。効果はマイルドですが、依存性やふらつきの副作用がほとんどなく、高齢者や昼夜逆転気味の方によく処方されます。即効性よりも、リズムを整える目的で使われます。

3. 非ベンゾジアゼピン系(超短時間型で入眠を助ける)

代表薬:マイスリー、ルネスタ、アモバン
脳のGABA受容体に働きかけ、脳の活動を鎮めて眠りを誘います。次の項目の「ベンゾジアゼピン系」と似ていますが、筋弛緩作用(ふらつき)が少なく、作用時間が短いのが特徴です。「寝つきが悪いだけ」という方に適しており、翌朝に眠気が残りにくいメリットがあります。

4. ベンゾジアゼピン系(効果は強いがふらつき等に注意)

代表薬:ハルシオン、レンドルミン、サイレースなど
古くから使われている強力な睡眠薬です。即効性があり、抗不安作用や筋弛緩作用も併せ持ちます。確実に眠れる反面、ふらつき、転倒、依存形成のリスクが他のタイプより高いため、現在は他の薬で効果がない場合の選択肢となることが多いです。

【症状別】あなたに合う薬はどれ?

薬を選ぶ上で最も重要なのは、薬の作用時間(半減期)と、あなたの不眠タイプがマッチしているかです。作用時間が短すぎると夜中に目が覚めてしまい、長すぎると翌朝まで眠気が残ってしまいます。

「布団に入っても眠れない」入眠障害タイプ

床に入ってから30分〜1時間以上眠れないタイプです。この場合、服用後すぐに効いて、数時間で効果が切れる「超短時間型」や「短時間型」の薬が適しています。
(例:マイスリー、ルネスタ、デエビゴなど)

「夜中に目が覚める」中途覚醒タイプ

夜中に何度も目が覚めてしまい、その後眠れなくなるタイプです。ある程度の時間、効果が持続する「中間型」や「長時間型」、または持続性のあるオレキシン受容体拮抗薬が選ばれます。
(例:ベルソムラ、デエビゴ、レンドルミンなど)

「朝早く目が覚める」早朝覚醒タイプ

起きる予定の時間より2時間以上早く目が覚めてしまうタイプです。高齢の方に多く見られます。朝まで効果が続く「長時間型」の薬が必要になることがありますが、翌日の眠気(持ち越し効果)とのバランス調整が重要です。
(例:ベルソムラ、デエビゴなど)

以下の表は、各タイプの薬が体内で半分になる時間(半減期)の目安です。これを見ると、なぜ医師がその薬を選んだのかが理解しやすくなります。

▼不眠タイプ別・適した薬の作用時間一覧表(半減期の目安)

分類 半減期(目安) 適応タイプ 主な薬剤
超短時間型 2〜4時間 入眠障害 マイスリー、ハルシオン
短時間型 6〜10時間 入眠障害
中途覚醒
レンドルミン、リスミー
中間型〜
長時間型
24時間〜 中途覚醒
早朝覚醒
ドラール、ベンザリン
オレキシン系
(新しいタイプ)
個人差あり
(自然に近い)
全タイプ対応
(特に入眠・中途)
デエビゴ、ベルソムラ

ドラッグストアで買える「市販の睡眠改善薬」の正しい使い方

「病院に行くほどではないけれど、今夜だけはどうしても眠りたい」。そんな時に便利なのが、ドラッグストアで購入できる「睡眠改善薬」です。ドリエルなどの商品名で知られ、手軽に入手できる反面、その仕組みとリスクを正しく理解していないと、期待した効果が得られないばかりか、思わぬ副作用に悩まされることになります。

ここでは、市販薬の成分の正体と、薬剤師も推奨する「安全で効果的な使い方」について解説します。

市販薬の正体は「抗ヒスタミン成分」(風邪薬の眠気と同じ)

市販の睡眠改善薬のパッケージ裏面(成分表)を見てみてください。多くの製品で「ジフェンヒドラミン塩酸塩」という成分名が書かれているはずです。

実はこれ、鼻炎薬や風邪薬、痒み止めに含まれている成分と同じものです。風邪薬を飲んだ時に、強烈な眠気に襲われた経験はありませんか? あの副作用である「眠気」を、逆転の発想で「睡眠を助ける効果」として利用しているのが市販の睡眠改善薬なのです。

脳内の覚醒物質であるヒスタミンの働きをブロックすることで眠気を誘いますが、これは脳の機能を全体的に鈍らせている状態とも言えます。そのため、自然な眠りというよりは、「ぼーっとして眠くなる」感覚に近いかもしれません。

効果的なタイミングと服用期間の限度

市販薬はあくまで「一時的なピンチヒッター」です。効果を最大限に引き出し、リスクを避けるためには、以下のタイミングを守ることが重要です。

1. 服用のタイミング:就寝の30分〜1時間前
布団に入る直前ではなく、少し前に服用し、リラックスして過ごすことでスムーズな入眠を促します。

2. 服用期間:連続して2〜3日まで
ここが最も重要なポイントです。市販薬の成分は、続けて飲むと体がすぐに慣れてしまい(耐性)、効き目が悪くなります。「効かないから」と量を増やすのは大変危険です。

山田医師 (〇〇睡眠クリニック院長) の警告

「市販の睡眠改善薬を『毎日』漫然と飲み続けることは避けてください。数日で耐性がつき、効果が薄れるだけでなく、体内に成分が蓄積して日中の強い眠気や集中力低下を招きます。また、前立腺肥大や緑内障の方は症状を悪化させる恐れがあるため、服用前に必ず薬剤師や医師に相談してください。」

薬剤師が教える!市販薬購入時の注意点(副作用・飲み合わせ)

市販薬だからといって副作用がないわけではありません。購入時や服用時には以下の点に注意してください。

  • 他の薬との併用に注意: 風邪薬、鼻炎薬、乗り物酔いの薬などにも抗ヒスタミン成分が含まれていることが多く、併用すると過剰摂取(オーバードーズ)になり危険です。必ず薬剤師に飲み合わせを確認しましょう。
  • 翌日の眠気(持ち越し効果): 処方薬に比べて、成分が体から抜けるのに時間がかかることがあります。翌朝の運転や危険な作業は控えてください。
  • 口の渇き・排尿障害: 抗ヒスタミン成分の作用で、口がカラカラに乾いたり、尿が出にくくなったりすることがあります。特に高齢男性は注意が必要です。

多くの人が不安に感じる「副作用」と「依存性」の真実

「薬がないと眠れなくなる身体になりたくない」
「認知症になると聞いたことがある」
このような不安から、睡眠薬の使用をためらう方は非常に多いです。確かに、薬である以上リスクはゼロではありません。しかし、インターネット上には古い情報や過剰に不安を煽る情報が溢れており、それが受診の妨げになっているのも事実です。

このセクションでは、ペルソナであるあなたが最も懸念している「安全性」について、最新の医学的データに基づき、誠実に、そして包み隠さず解説します。

「依存性」が心配…薬をやめられなくなる?

睡眠薬の依存には、体が薬を求める「身体的依存」と、気持ちの面で頼ってしまう「精神的依存」があります。昔の睡眠薬(バルビツール酸系など)は依存性が強く問題視されましたが、現在主流の薬は依存性が大幅に軽減されています。

特に、最近登場したオレキシン受容体拮抗薬(デエビゴ、ベルソムラ)やメラトニン受容体作動薬(ロゼレム)は、従来の薬に比べて依存形成のリスクが極めて低いことが臨床試験で示されています。

また、ベンゾジアゼピン系などの従来薬であっても、医師の指導の下、決められた量を守っている限り、急に依存症になることは稀です。危険なのは「自己判断での増量」と「アルコールとの併用」です。

山田医師 (〇〇睡眠クリニック院長) の解説

「多くの方が心配される『一生やめられないのでは』という点ですが、不眠の原因が解消され、睡眠のリズムが整えば、薬を卒業することは十分に可能です。大切なのは、『急にゼロにしない』こと。医師と相談しながら、少しずつ量を減らしたり、弱い薬に置き換えたりする『正しい減薬プロセス』を踏めば、離脱症状に苦しむことなく薬を手放せます。」

翌朝も眠い、だるい…「持ち越し効果」への対策

「薬を飲んだら、翌朝起きられず仕事にならなかった」。これは「持ち越し効果」と呼ばれる現象で、薬の作用が朝まで残ってしまっている状態です。

対策:

  • 服用のタイミングを早める: 寝る直前ではなく、少し早めに飲むことで、起床時に薬の効果が切れやすくなります。
  • 半減期の短い薬に変える: 医師に相談し、キレの良い(作用時間の短い)薬に変更してもらうことで改善することが多いです。
  • 超重要:お酒と一緒に飲まない: アルコールは肝臓での薬の分解を遅らせ、作用を不必要に強めたり長引かせたりする最大の原因です。

高齢者や女性が特に注意すべき「ふらつき・転倒」

睡眠薬(特にベンゾジアゼピン系)には、筋肉の緊張をほぐす「筋弛緩作用」があります。これが強く出ると、夜中にトイレに起きた際などに足元がふらつき、転倒して骨折するリスクがあります。

特に筋肉量が少ない女性や高齢者は注意が必要です。診察時に「夜中にトイレに行くことが多い」と伝えておけば、医師は筋弛緩作用の少ない薬(非ベンゾジアゼピン系やオレキシン系など)を選んでくれます。

物忘れ?「健忘」のリスクと防ぎ方

「薬を飲んだ後の記憶がない」「夜中に電話をしたらしいが覚えていない」。これは「前向性健忘」と呼ばれる副作用です。超短時間型の薬を飲んで、すぐに布団に入らずに起きていると起こりやすくなります。

防ぎ方:
睡眠薬は「布団に入る準備をすべて整えて、今すぐ寝られる状態」になってから服用してください。服用後にスマホを見たり、家事をしたりするのは避けましょう。

初めての心療内科・睡眠外来!受診のハードルを下げるガイド

「心療内科や精神科に行くのは、自分が精神的に弱いと認めるようで怖い…」。そう感じるのは、あなただけではありません。筆者も初めて受診したときは、待合室に入るまで心臓がバクバクしていました。

筆者の体験談:初めての睡眠外来
「思い切って受診したとき、医師は開口一番『よく来てくれましたね、辛かったでしょう』と言ってくれました。私は怒られるとか、薬漬けにされるとか想像していたので、拍子抜けすると同時に涙が出そうになりました。診察では、仕事のストレスや生活リズムを淡々と話すだけで良く、薬も『まずは一番弱いものから試しましょう』と提案され、私の意思を尊重してくれました。『もっと早く来ればよかった』。それが素直な感想です。」

ここでは、スムーズに受診し、納得のいく治療を受けるためのガイドをお伝えします。

何科に行けばいい?(心療内科、精神科、内科の違い)

不眠の相談は、以下の診療科で可能です。

  • 心療内科・精神科: 最も専門的です。不眠の背景にあるストレスや不安も含めて診てくれます。「睡眠外来」という看板を掲げているクリニックも増えています。
  • 内科(かかりつけ医): 風邪などで通っている馴染みの先生なら相談しやすいでしょう。ただし、専門的な睡眠薬の調整が必要な場合は、専門医を紹介されることもあります。
  • 婦人科: 更年期障害に伴う不眠の場合は、婦人科でのホルモン治療が奏功することもあります。

迷ったら、まずは「心療内科」または「睡眠外来」を探してみるのがおすすめです。

医師に何を伝えればいい?スムーズな診察のためのメモ術

限られた診察時間で、あなたの症状を正確に伝えるために、以下の項目をメモして持参することをおすすめします。

  • 具体的な症状: 「寝付けない(何分くらい?)」「途中で起きる(何回?)」「朝早く起きる」
  • 期間: いつ頃から眠れなくなったか。
  • 原因の心当たり: 仕事のストレス、家庭の悩み、環境の変化など。
  • 生活習慣: 就寝・起床時間、飲酒・喫煙の有無、昼寝の習慣。
  • 希望: 「漢方薬から始めたい」「翌日に残らない薬がいい」「依存性が心配」など。

薬だけに頼らない!認知行動療法(生活習慣改善)の併用

不眠治療は「薬物療法」と「非薬物療法」の両輪で行うのが理想です。特に、睡眠に対する誤った考え方や習慣を修正する「認知行動療法」は、薬と同等の効果があることが実証されています。

以下は、厚生労働省の指針に基づく「良い睡眠のための生活習慣」です。できることから取り入れてみましょう。

▼Chart: 良い睡眠のための生活習慣10箇条(厚生労働省指針より抜粋・要約)

  1. 就寝・起床時間を一定にする: 休日も平日との差を2時間以内に。
  2. 太陽の光を浴びる: 朝起きたらすぐにカーテンを開け、体内時計をリセット。
  3. 適度な運動: 夕方の軽い散歩などが効果的(寝る直前の激しい運動はNG)。
  4. 入浴はぬるめで: 就寝の90分〜2時間前に、38-40度のお湯にゆっくり浸かる。
  5. 寝る前のスマホ・PCは控える: ブルーライトは脳を覚醒させます。
  6. カフェイン・アルコールを控える: 夕方以降のカフェイン、寝酒は睡眠の質を下げます。
  7. 「眠くなってから」布団に入る: 眠くないのに無理に寝ようとすると、布団=眠れない場所と脳が学習してしまいます。
  8. 寝室の環境を整える: 音、光、温度、湿度を快適に。
  9. リラックスタイムを持つ: 音楽、読書、アロマなど、自分なりの入眠儀式を。
  10. 眠れなくても焦らない: 「横になっているだけでも体は休まる」と割り切る。

よくある質問(FAQ)に専門医が回答

最後に、診察室でよく聞かれる質問について、山田医師に回答していただきました。

Q. 睡眠薬とお酒を一緒に飲んでもいいですか?

山田医師の回答:

絶対にNGです。 アルコールと睡眠薬を併用すると、薬の作用が異常に強まり、記憶障害(健忘)、呼吸抑制、ふらつきによる転倒事故などのリスクが跳ね上がります。また、アルコール自体が睡眠の質を悪化させるため、治療の意味がなくなってしまいます。休肝日を設けるか、どうしても飲む場合は時間を大きく空ける必要があります。」

Q. 認知症になるリスクがあるって本当ですか?

過去に、一部のベンゾジアゼピン系睡眠薬の長期使用が認知症リスクを高める可能性を示唆する研究がありましたが、現在では「睡眠薬の使用が直接的に認知症を引き起こす」という明確な結論は出ていません。むしろ、慢性的な不眠を放置すること自体が、脳のアミロイドβ(老廃物)の蓄積を招き、アルツハイマー型認知症のリスクを高めることがわかってきています。適切に薬を使って良質な睡眠をとることは、脳を守ることにも繋がります。

Q. 薬が効かない時は、勝手に量を増やしてもいい?

自己判断での増量は大変危険ですので、絶対にやめてください。副作用のリスクが高まるだけでなく、医師が薬の効果を正しく評価できなくなります。効かない場合は、薬の種類が合っていない可能性があります。次の診察で医師に「効かなかった」と正直に伝え、種類の変更や用量の調整を相談してください。

Q. 妊娠中や授乳中でも飲める睡眠薬はありますか?

妊娠中や授乳中は、基本的に薬の使用は慎重になる必要があります。しかし、お母さんの睡眠不足が極度になると、母体や胎児、育児に悪影響を及ぼすこともあります。漢方薬や、比較的安全性が高いとされる薬(ロゼレムなど)もありますので、産婦人科医や心療内科医とよく相談し、メリットとデメリットを検討した上で処方を決めていきます。自己判断で市販薬を飲むのは避けましょう。

まとめ:正しい薬選びで、まずは「眠れる安心」を取り戻そう

ここまで、市販薬と処方薬の違い、それぞれの正しい選び方、そして副作用への対策について解説してきました。不眠は、真面目で頑張り屋さんな人ほど陥りやすい悩みです。「薬に頼るのは甘え」なんて思う必要は全くありません。

重要なポイントの再確認:

  • 一時的な不眠なら市販薬(ただし連用はNG)。
  • 1週間以上続く、原因不明、中途覚醒があるなら処方薬(受診)
  • 最近の処方薬(オレキシン系など)は、依存性が低く安全性が向上している。
  • お酒との併用は絶対禁止。

最後に、山田医師からのメッセージ

「眠れない夜の孤独感は、本当につらいものです。しかし、睡眠医療は進歩しており、あなたに合った解決策は必ずあります。薬はあくまで、乱れた睡眠リズムを整えるための『補助輪』です。自転車に乗れるようになったら補助輪を外すように、眠れる自信がつけば薬は卒業できます。どうか一人で悩まず、専門家の手を借りて、ぐっすり眠れる安心感を取り戻してください。」

最後に、あなたが今日からできるアクションをチェックリストにしました。まずは一つ、小さな一歩を踏み出してみませんか?

▼不眠対策・最終アクションチェックリスト

自分の不眠タイプ(入眠障害、中途覚醒など)を把握した。
不眠が2週間以上続いているなら、近くの心療内科・睡眠外来を検索してみる。
市販薬を使う場合は「最大3日まで」と決め、お酒とは併用しないと誓う。
今夜はスマホをベッドに持ち込まず、リラックスして布団に入る。

参考文献・出典
・厚生労働省 e-ヘルスネット「不眠症の薬物療法
・PMDA(医薬品医療機器総合機構)くすりのしおり
・国立精神・神経医療研究センター 睡眠薬の適正使用ガイドライン
・日本睡眠学会 睡眠薬の適正使用・休薬ガイドライン

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